都市農地とまちづくり
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農住組合制度・実績
 

優遇制度

農住組合の優遇制度には以下の制度があります。

JAと行政による指導等

 農住組合事業が円滑かつ、適切に行われるためには、JAや都道府県、市区町村の積極的な指導・支援が必要です。このため、農住組合は、JAに対し、組合の事業に関し必要な助言、又は援助を求めることができ(法第91条、規則第18条)、国及び地方公共団体は、組合に対してその事業の施行の促進を図るため必要な助言及び指導を行うことができるとされています(法第92条)。
このため、農住組合設立手続きにおいても、発起人は事業基本方針をJAに送付し、JAはその方針に意見を述べることができるとされています(法第65条)。
JAグループではこれをうけて、農住組合の委託に基づき組合事務局を担当し、行政と調整等を行いながら農住組合の事務を処理するなど、全般にわたり農住組合事業を支援していく方針を打ち出しています。


財政上の支援

 農住組合は、その事業の推進にあたり種々の財政的支援を受けることができます。

(1) 農住組合の設立段階から農住組合による計画策定まで

 農住組合を設立するまでにも、種々の調査、構想策定や土地所有者等への説明資料の作成などの作業やそれに伴う費用が必要となります。この段階では、まだ組合が設立されていないので、通常これらは地元公共団体やJAが負担することになります。これらの負担を直接軽減するものではありませんが、事業を効率的に推進するためには、人材育成研修支援制度やアドバイザー派遣制度が活用できます。

これらの制度を広く農住組合制度の普及啓発、候補地区の掘り起こし、検討地区の作業促進等に活用されることが望まれます。この事業は、国土交通省が直接実施する事業であり、原則として地元負担はありません。
また、このほかにも地方公共団体及びJAグループでは、独自の助成制度を実施している場合もありますので活用して下さい。

(2) 農住組合による基盤整備事業実施段階

 農住組合が事業主体となって、土地の造成、公共施設の整備等の基盤整備事業を行う場合、以下の事業が活用できます。

(ア) 特定土地区画整理事業(国土交通省都市・地域整備局市街地整備課)
大都市地域で特定土地区画整理事業を実施する農住組合等に対して都道府県等を通じ国が事業費の一部を補助。地区面積が2ha以上であること、幅員8m以上の都市計画道路の新設・改築を含むことなどが要件。
(イ) 上記以外の組合等区画整理補助事業(国土交通省都市・地域整備局市街地整備課)
農住組合の設立と合わせて、これとは別に土地区画整理組合を設立する場合には、上記(ア)の制度以外にも通常の組合等区画整理補助事業の対象となることが可能である。地区面積が原則10ha(要件に応じ5ha)以上であること、幅員12m以上の都市計画道路の新設・改築を含むことなどが要件。
(ウ) 住宅市街地基盤整備事業(国土交通省総合政策局宅地課・住宅局住宅総合整備課)
農住組合等の行う区画整理事業が住宅・宅地の供給に資するものとして一定の要件を満たす場合、地方公共団体が行う公共施設等の整備に対して国が補助。
(エ) その他地方公共団体及びJAグループによる独自の助成制度

(3) 農住組合による賃貸住宅建設・管理段階

  基盤整備後、良質な賃貸住宅を建設・管理する場合、以下のような事業を活用できます。

(ア)

地域住宅交付金(国土交通省)
地方公共団体が主体となり、公営住宅の建設や面的な居住環境整備など地域における住宅政策を自主性と創意工夫を活かしながら総合的かつ計画的に推進するための支援制度

(イ) 特定優良賃貸住宅供給促進事業(国土交通省住宅局住宅総合整備課)
一定の要件を満たした、賃貸住宅を農住組合が供給する場合、全体工事費の1/3について国と地方公共団体から補助。
また、入居者階層の負担能力を勘案して入居者負担額を定める場合、通常の家賃とその入居者負担額の差額を家賃補助として受ける。
(ウ) 高齢者向け優良賃貸住宅制度(国土交通省住宅局住宅総合整備課)
一定の要件を満たした、高齢者向けの賃貸住宅を供給する場合、住宅共用部分等の整備の1/3について国と地方公共団体から補助。また、事業主体が入居者の支払う額を減額した場合には家賃対策補助がある。

金融上の優遇措置

 農住組合は、その事業推進にあたり種々の金融上の優遇措置が受けられます。

(1)農住組合による基盤整備事業実施段階
(ア) 組合等土地区画整理資金貸付金(国土交通省都市・地域整備局市街地整備課)
一定の要件を満たす土地区画整理事業を行う場合、事業費の一定範囲以内で無利子の貸付を受けることができる。
(イ) 民間宅地造成融資制度(住宅金融公庫)
一定の要件を満たす土地区画整理事業を行う場合、住宅金融公庫から低利の融資を受けることができる。

(2)賃貸住宅建設段階
(ア) 農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法による融資[通称:農住利子補給](国土交通省住宅局住宅総合整備課)
農地を活用して、一定の要件を満たす賃貸住宅を建設する場合、国費による利子補給を受けた低利融資をJA等から受けられる。農住組合が自ら又は組合員からの委託を受けて建設を行う場合は、通常の場合、必要要件となっている水田の転用を伴わなくても、融資が受けられる。(法第89条)
(イ) 農地転用賃貸住宅融資(住宅金融公庫)
農地を転用して一定の要件を満たす賃貸住宅を建設する場合、住宅金融公庫から低利の融資が受けられる。
(ウ) 地方公共団体等の独自の融資
以上のような国レベルの制度の他、地方公共団体や地方住宅供給公社等が地域の住宅事情に鑑み、賃貸住宅建設促進のための独自の融資制度を実施しているところがあるので活用されたい。

税制上の優遇措置

 農住組合は、先にも述べたとおり、組合員の所有する農地の活用という営利的分野を含む事業を行う法人であり、さらに公的な強制力の伴わない自主参加組織ですので、公共施設の整備等を目的とし、強制加入制度をもつ土地区画整理組合とは異なり、税法上は普通法人(土地区画整理組合は公共法人)となっていますが、それでも表のように種々の税制上の優遇措置があります。

農住組合制度に係る税制特例措置の概要(平成17年度)
区分 税の
種別
根拠条項 特例措置の概要 備考
加入金・
配当金の
取り扱い
法人税 法人税法施行令8 農住組合が出資者から徴収した加入金は資本積立金とする。
所得税 所得税法施行令62 農住組合の利用分量配当は、配当所得の余剰金の分配収入とする。
農住組合
の行う土
地区画整
理事業に
係る特例
措置
法人税 租税特別措置法62の3(3)
同施行令38の4(11)
農住組合の土地区画整理事業に係る保留地の処分は、一般土地譲渡益重課税制度の適用除外となる棚卸資産の譲渡に含める。 *1
不動産取得税 地方税法73の6(3) 農住組合が施行する土地区画整理事業による換地等の取得については非課税とする。
特別土地保有税 地方税法587(1)(2) (保有分)農住組合が施行する土地区画整理事業による換地等について従前の土地が非適用土地であった土地については非課税とする。
(取得分)農住組合が施行する土地区画整理事業による換地等の取得については非課税とする。
交換分合
に係る特
例措置
(ただし、
三大都市
圏の特定
市で行わ
れたもの
に限る)
所得税 租税特別措置法37の6(1)三
同施行令25の5(3)(4)
農住組合の組合員が交換分合により土地等を譲渡し、かつ取得したときは
その土地等の譲渡がなかったものとする。
土地等と清算金とを取得したときは、譲渡した土地のうち、清算金に相当する部分を除き、譲渡がなかったものとする。
法人税 租税特別措置法65の10(1)三、
68の81(1)三
同施行令39の8(2)(3)、
39の107(3)
農住組合の組合員が交換分合により土地等を譲渡し、かつ取得したときは取得資産の帳簿価格を譲渡資産の帳簿価格まで圧縮記帳することにより課税の繰り延べを認める。 *2
特別土地保有税 地方税法587(1)(2)
同施行令54の32(1)七、(2)七、(4)四
(保有分)農住組合の交換分合により取得した土地について、交換分合の土地が非適用土地であった場合には、交換分合の土地の価額に対応する部分は非課税とする。
(取得分)農住組合の交換分合により取得した土地のうち交換分合前の土地の価額に対応する部分は非課税とする。
宅地・賃
貸住宅に
係る特例
措置
固定資産税 市街化区域内農地を平成12年1月1日から平成18年3月31日までに転用して基盤整備を伴う優良な賃貸住宅を新築し、現に貸家の用に供している場合には、その建物及び敷地について以下の額を減額する。 *3
地方税法附則16(3) (賃貸住宅)
4階以上 最初の5年間 3/4
その後の5年間 2/3
3階建て 最初の5年間 2/3
地方税法附則16(4) (敷地)
平成12,13年度中に新築した場合
3年間2/3
平成14,15年度中に新築した場合
3年間1/2
平成16,17年度中に新築した場合
3年間1/3
*1: H6.4.1以降に処分したものに限る。
*2: 特例措置の適用は、平成3年1月1日における三大都市圏の特定市の区域内で行われた交換分合に限る。
*3: 農住組合を含む。(三大都市圏の特定市の市街化区域内農地の所有者のみを組合員とするものに限る)




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