残念ながら農地所有者が自発的にまちづくりを考え、自主的に農住組合などに取組むという事例は、ほとんどありません。とはいえただ単に「みんなで協力をしてまちづくりを・・・」と呼びかけても、すぐに賛同など得られるはずもありません。
そこで農住組合制度の啓発・普及にあたっては、あくまで農地所有者側の視点に立ちつつ、まず市街化区域内農地の置かれている状況をしっかりと理解してもらい、そのうえで長期的にどのような土地活用が最も有効なのか、さらには協同で事業を行なうメリットなどといった、流れに沿った説明が必要とされます。つまり「自分たちが守り、生活してきたこの土地を、今後どのような地域にしていきたいのか」という身近な問題意識の掘り起こしこそが、地域として協同でまちづくりを行なっていく気運を醸成する第一歩。そのためには農地所有者に対し、日頃から会議や広報資料を通じて、農地を取巻く環境や今後の動向などについてきめ細かな説明や意見交換を行なうとともに、地方自治体・JAともに明確な相談窓口を設置し、農地所有者の声を積極的に聞いていくことが重要です。
こうした活動を通じて、農地所有者に問題意識やまちづくりへの意欲が徐々に見えはじめれば、第1ステップは突破。さらにアンケートによる意向調査や、勉強会を実施して、組合発足に向けて直面する具体的な問題解決に向けての話合いまでこぎつければ、地域整備への気運は一気に高められるでしょう。また地方自治体・JAからみて、事業の緊急性が高いと思われる地区を選定し、優先順位を考慮のうえ、集中的に地権者への指導・掘り起こしを行なうことも大切です。
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なおこうした啓発・普及活動には、農住組合制度の説明パンフレットや事例紹介ビデオとともに、都市農地活用アドバイザー制度を積極的に活用するなど、専門家のアドバイスを受けるとよいでしょう。 |
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