農と住の調和のとれた計画とは、計画地が農地であることを最大限に活かしつつ、農地所有者にとっても、住む人にとっても、また周辺の住民にとっても、住みよいまちづくりを行なう計画といえます。このためには、都市内の農地がもつさまざまな機能を十分に考えなければなりません。特に生産緑地など営農継続農地の果たす役割をいかに再評価するかが、最も重要なポイントとなるでしょう。たとえば農地を都市のなかの緑地として捉え、景観上の魅力づくりを考えるとか、朝市広場の整備や住民による収穫体験会など、農地を活かしたイベントを開催するといった新たな取組みもいいでしょう。
また長期的に残す農地がない場合でも、当面農地として利用する土地があれば、景観・環境上の魅力として活かしたり、あるいは市民農園として整備することによって農園付き住宅を企画することや、緑化材として園芸作物の栽培を行なうことなども十分に考えられます。
こうした農地を積極的に活用したまちづくりに取組むことにより、できあがるまちに大きな付加価値が期待され、これによって住宅・宅地市場で競争力を得ることはもとより、住民や周辺住民に愛される、生き生きとしたまちに育っていくこととなるのです。ですから本事業においては、たとえば目的換地などの手法によって営農継続農地と住宅地を明確に区分し、農業経営と良好な住宅宅地の供給が両立(共存)しうる土地利用計画を策定すること、そして農家が農地を活用して自ら行なうまちづくり事業の特徴を活かすことが極めて重要となってくるのです。 |