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  • 都市と農の共生をめざして~都市農地センター

担い手育成
食育・交流

東京で新規就農を実現する

  ・新規就農を支援するゆるやかなネットワーク

取組みの概要

 東京都内(島しょ地域を除く)では、非農家出身者が新規に就農することはできない、と言われてきた。制度上、都内で農地を貸借することが非常に難しいことがその理由であったが、近年、一般社団法人東京都農業会議をはじめとした関係者の連携により、都内での新規就農が次々に実現している。

 その新規就農者、新規就農希望者、および彼らを支える関係者等によってつくられたゆるやかなネットワーク組織が「東京NEO-FARMERS!」である。

 東京NEO-FARMERS!は、東京都内に新規就農した農業経営者や法人で雇用された者、これから新規就農を目指す者、彼らを応援する農業者など総勢60組を超えるネットワーク組織で、彼らが情報交換のため集まっていた会合(飲み会)が発展したものである。会則などは存在しない自由な、ゆるやかな集まりであるが、東京で農業に取組むという共通の志しのもと、相談や研修、販路づくり、直売など、さまざまな場面で協力し結束して東京の農業振興に貢献している。

 この組織の事務局的役割を担っているのは東京都農業会議である。

 東京都内での新規就農希望者は従来から少なくなかったが、そもそも都内の農地は面積的に極端に少なく、貸借が可能な市街化調整区域であってもそれを借りて新たに参入することは島しょ地域を除けば困難と言われ、都農業会議でも以前はそのような説明に終始していた。

 ところが、日の出町や瑞穂町で農地の貸借、とくに町外の農業者の受入れの動きが活発になったことから、都農業会議でもこうした現地と連携して新規就農の受入れに動いた。その結果、平成21年3月に都内初とされる新規就農者が瑞穂町に誕生した。

 その後、関連する法制度の改正により市街化調整区域での農地の貸借がしやすくなったり、東京都においても新規就農の経営計画を助言する「新規就農希望者経営計画支援会議」が設置されるなど、新規就農を後押しする環境が整ってきたといえる。

 瑞穂町での新規就農以降、同様のルートで4組ほどの新規就農者が誕生した平成22年頃から、その新規就農者や地元の若手農業者がたびたび集まるようになった。彼らはその場で互いの取組み、考え方を議論し、情報交換を行っていたわけだが、この会はやがて都農業会議を訪れた新規就農希望者や、彼らを応援したいという支援者までが参加する月例会へと発展した。そして支援者であるデザイナーの提案で「東京NEO-FARMERS!」と名付けられたのである。

 月例会は現在まで続いているほか、東京NEO-FARMERS!としての活動は、イベントでのPRブースの設置やメンバーの農産物の直売である。前述のデザイナーを中心に、ロゴマークや出荷シール、リーフレット、ポスター、Webページなどが作成され、メンバーはそれらを自由に使うことができるため、彼らの活動は都内に広く浸透し始めている。福生市のスーパーには東京NEO-FARMERS!の常設売場も誕生した。

 こうした販売活動のほか、このネットワークはメンバー間の支援、あるいは新たに就農しようとしている者への支援の部分でも大きな機能を発揮している。経営や販売についての情報交換はもちろんのこと、新規就農希望者の研修を受入れたり、農業分野への参入を希望する法人へは構成員(従事者)としてメンバーを紹介したりと様々であるが、都内の新規就農者であれば、何らかの形でお互いを知っているという状況を作り出しているこのネットワークは、東京での新規就農とその後の営農を支える仲間たちのゆるやかなグループとして、彼ら自身にも、そして東京の農業振興にも欠かせない存在となっている。

月例会にて

圃場にて(青梅市富岡地区)

耕作地確保・営農主体など

現在までの東京都内の新規就農者は、島しょ地域を除くと市街化調整区域内での就農(農地確保)がすべてである。都農業会議では、今後の法改正で市街化区域での農地(生産緑地)の貸借が可能になれば、全国初の新たな制度による市街化区域での新規就農者を輩出することを目指している。

都市農業の機能発揮

評価ポイント!

担い手育成:都市農業の新たな担い手として外部からの新規就農者が位置づいている。公的機関が仲介していることで円滑に就農が実現した。
交流:ネットワーク内で異業種間の交流が積極的に行われ、農業の新たな展開にむすびついている。

団体概要

団体名東京NEO-FARMERS!
活動地域東京都
問い合わせ一般社団法人 東京都農業会議  Tel. 03-3370-7146
ホームページhttp://tokyo-neo-farmers.com/