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  • 都市と農の共生をめざして~都市農地センター

福祉
担い手育成・食育・交流

農業体験農園における福祉事業所による作業支援の取組み

  ・都市農業における農福連携

取組の概要

 東京都八王子市堀之内地区(旧由木地域)にあるユギムラ牧場のオーナーの鈴木亨氏は、地域福祉に貢献したいという気持ちから、障害福祉サービス事業所に通う人たちが地域に関わるための支援に注力してきた。その取組みの一つに、障害福祉サービス事業所の施設外就労の請負がある。

 ユギムラ牧場は、牛舎とヤギ小屋が象徴的であるが、周辺住民等が利用している農業体験農園(平成27(2015)年に開設)が40区画ある。この農業体験農園において、隣接する日野市にある「認定NPO法人やまぼうし・里山耕房くらさわ(生活介護事業所)」の通所者数名が週2~3回(主に午後)、作業支援を行っている。「里山耕房くらさわ」は、平成16(2004)年に開設され、日野市倉沢の里山保全地区の一部を管理運営し、有機野菜の栽培を行ってきた経験がある。そのため、通所者が農作業に慣れていることから、その特性を生かし、ユギムラ牧場では農業体験農園の利用者が使用するぼかし肥料や堆肥作り、トマトの苗作りの作業を委託されている。そのほかにも、農園内の草取り、ヤギの世話のほか、休憩スペースや道の掃き掃除等の農園利用者向けのメンテナンスにかかる作業の支援を担っている。委託されているこれらの作業には決められた納期がないため、里山耕房くらさわでは通年での作業を確保できることが利点となっている。

 また、ユギムラ牧場の場合、農園運営に携わる若手スタッフがかつて認定NPO法人やまぼうしで勤務していたことから、障害者の特性等を十分に理解しているだけでなく、作業依頼前に事業所の得意な作業も把握しており、さらに事業所のスタッフとの信頼関係があることでスムーズな連携が図られ、継続的な作業支援の活動を可能にしている。

全体図

耕作地確保・営農主体など

 ユギムラ牧場では代々続く酪農を営んでいたが、現在の園主の鈴木氏が大病を患ったのをきっかけに平成18(2006)年に酪農は廃業したものの、「牧場」のネーミングはそのまま残されている。

 ユギムラ牧場の敷地には、農業体験農園(20アール)のほか、ユギムラ牧場で研修している新規就農者や近隣の障害福祉サービス事業所等が利用している畑がある。

 農業体験農園は10㎡と20㎡の区画あり、利用者は100人近くいるが、主に20~30代の子育て・共働き世代である。農園には常駐のスタッフがおり(週2日以上)、障害福祉サービス事業所の通所者とともに日常の管理を行っている。

農業体験農園のようす

農業体験農園の入口

都市農業の機能発揮

評価ポイント!

・園主が経営する農業体験農園において、若手農家が指導したり、障害福祉サービス事業所の施設外就労の受け入れを行っている点が特徴的である。
・農業体験農園での作業は、障害福祉サービス事業所の特性や通所者の能力を考慮した内容であるとともに、通年で行える内容が多く、障害者にとって、ユギムラ牧場での農作業は仕事の確保だけでなく、農園に来る楽しさや喜びを感じるといった、精神・身体面でのメリットがある。

団体概要

団体名ユギムラ牧場
活動地域東京都八王子市堀之内
問い合わせtama.ossan@nifty.com (鈴木 亨)
ホームページhttps://fio8.com/about/about_yugimurafarm/